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レビュー : テーブルトークRPG

 今回はちょっと趣向を変えてテーブルトークRPG(以下TRPG)のレビューというか紹介をしたいと思います。

  TRPGというのは、紙やサイコロといったアナログな道具を使って会話をベースにしたロールプレイを楽しもう!という遊びです。

 発祥は1970年代のアメリカだと言われています(wikipedia調べ)。まだコンピューターゲームが浸透する前に貪欲な遊戯探索者によって開発されたようです。私はボードゲームなんかもそこそこやるので興味はあったのですがやっぱりハードルが高くプレイする機会がありませんでした。

 基本的にはダイスなどの道具とルールブックがあればいいのですが、ゲームをまわす

ゲームマスター(以下GM。呼称は様々なようです。)に技量が求められるので環境に恵まれないとプレイ自体難しいです。

 今回ありがたいことにお誘いを受けて初プレイが叶いましたのでどんなものなのかというのを紹介したいと思います。

 

■目次

・題材、シナリオ

・実際のプレイ

・まとめ

 

■題材、シナリオ

 TRPGには様々な題材があります。剣と魔法とドラゴンをベースにしたもの、SFや現代日本をベースにしたもの、コンピューターゲームライトノベルを題材にしたものなど様々です。

 その中で今回ベースとして遊んだのが「クトゥルフ神話」となります。これはアメリカの小説家ラヴクログト氏が作成した架空の神話で、特定の界隈では説明不要なほど有名です。

 簡単に世界観を説明すると、太古に栄えていたが現代からは姿を消した人智を超えた邪神がおり、その復活を目論む邪悪な教団や現代へ顕現した邪神の手先と戦いを繰り広げる、というものです。

 

 ゲームにした場合の共通の特徴としては

 ・プレイヤーは普通の人間だが相手は超常の存在であるためまともに戦うことは不可能に近い。探索によって知識を得ることで対抗するのが基本。

 ・正気度(いわゆるSAN値)というパラメータがあり、理解できないものを目にするたびに削られていき最終的に発狂してしまう。

 というものがあります。

 

 クトゥルフをベースにしたシナリオはたくさんの種類がありますが、今回は

 闇をゆく者達の宴(スタヂオひまつぶし様制作)

 で遊ばせていただきました。このように同好の士の方によって作られるシナリオもあるので頑張って探せば好みのシナリオを見つけることもできると思います。

 

 

■実際のプレイ

 今回は家でもできるオンラインのTRPG補助ツール「ココフォリア」を使用させてもらいました。

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黒塗りですがだいたいわかってもらえるかと

 こんな感じのインタフェースでその場の状況や今アクティブになっているプレイヤーが一目でわかるようになっています。アイコンを設定したりステータスの管理もできます。背景やBGMも設定できるのですがGMさんが一生懸命設定して下さったようで頭が下がります。

 私はこれから入ったので逆にリアルでやる時にどうやって情報処理するのかが気になりますね。

 

 今回は5名でプレイ。事前のGMの助言に従い刑事2人、探偵2人という堅実な布陣に

チャイニーズマフィア1名という異色なメンバーを加えて開始しました。

 開始前にキャラメイクで職業や能力をダイスに基づいて設定することができるのですが、GMを説得できれば普通ではない職業や能力を使えるのが楽しいところです。とはいえ私は今回初めてなので通常使われる設定を使用しました。

 私の分身の刑事の片岡君はダイスロールによりきわめて平凡な能力値になってしまいましたが洞察力、射撃能力に優れる刑事です。

 

 とある企業から失せもの探しの依頼を受けた探偵+マフィア側と連続殺人事件を追っている刑事二人組というシチュエーションで開始です。

 ここでおかしな職業を選んだプレイヤー(以下PL)がいるとGMの負担が増します(笑)。TRPGで大事なのはPL側もゲームを盛り上げる気持ちを持つことだと思いますので、奇想天外な設定をした場合はGMに助け舟を出してあげるとスムーズに進むでしょう。

 

 進行は自分がどうしたいかをGMに伝え、その内容次第でダイスロールが必要ならダイスを振り、自分の能力と照らし合わせて成否を判断する形で進みます。あまりにPLの察しが悪いとGMからダイスロールすることを促してくれたりしました。

 常識の範囲内で行動する分にはいいですが変わった行動をする際にはGMを納得させる必要があり、リアル交渉力が問われます。またメタ的な話をすると本筋を進める際に常識の範囲外の行動をとる必要は無いようなのでGMの手腕も問われます。

 またその場にいない人は基本的には会話に参加できないため(天の声が聞こえる場合はあります)、単独行動すると中の人の判断力がモロに問われるためしどろもどろになってしまう場合もあるかもしれません…。

 

 調査を進めていると怪しい施設が浮かび上がってきます。マフィアと探偵のコンビで夜間に侵入しますが、謎の集団との戦闘が発生し武闘派マフィアの李さんが早々に脱落してしまいました。

 実はこの李さんの中の人がリアル知人で他の人は面識が無かったのですが彼の初期脱落により全く知らない人と一緒に進めることになってしまいました。

 ですが私はここでは片岡という刑事なので何ら気負うことなくゲームが続行できました。ロールプレイの形をとることで知らない人とも楽しめるのがTRPGの良さだと思います。

 

 この後も調査を継続していったのですが、なんと途中で私ともう一人を残して他のメンバーが全滅してしまいました。さらにもう一人の生存者の中の人が寝落ちしてしまったようで反応が無くなるという中も外も絶望的な状況に(笑)。

 とりあえず一人で調査を継続しているうちに途中退場したメンバーが囚われの身になっていたことが判明し、中の人が目覚めた相棒と共に事件を追い続け無事エンディングを迎えることができました。

 

 ゲームにかかった時間はなんと…18時間(ぶっ続け)別にぶっ続けでやる必要は無いので時間を区切って進めるのがいいでしょう。

 エンディングは夜明けのシーンだったのですがリアルで重なり奇妙な感動がありました。寝落ちするのも止む無し。まさか社会人になって知らない人と徹夜で遊ぶことがあるとは思いませんでした。GW万歳…。

 

 かかる時間は参加メンバーやGMの手腕によっても異なりますがこれは相当長いほうだとは思います。知らないメンバー同士だったので相談するのに時間がかかって意思決定に時間がかかったことも原因かもしれません。手に入れた情報は各々がメモするなりして把握するので漏れ抜けや解釈の違いが出てきます。

 コンピューターゲームに慣れた身としては、情報が手に入るかどうかは自分の行動とダイス次第、手に入れた情報の解釈も自分の脳みそで考えないといけないというのが新鮮でした。曲解してても当然GMは教えてくれません。

 目標マーカーを追うだけのゲームをしてたら駄目ですね!

 今回のゲーム終了後にGMさんから言われたのは、そもそも手に入る情報の中に確証が得られるものは無かったので何を信じて進むのかを決めるのが重要だったということです。

 

 ゲーム自体はとても面白い体験だったので興味が出て終わった後にネットでシナリオの原本を覗いてみました。これを読むとあのイベントはGMがアドリブで入れたのか!とかこの情報があればこのメンバーではすぐ見抜いてしまうだろうから意図的に排除したのかもしれないな、などの色々な発見がありました。私以外のメンバー全滅後の実は囚われていた展開はGMのアドリブだったようです。ありがたい(笑)

 PL側でやっていると色々邪推してしまったりするのですがその姿を見てほくそ笑んでいたのかもしれませんね。自分は常識的な行動を心がけていたので結果的に大体GMの意に沿うプレイをしていましたが奇想天外な行動をするPLがいるとGMの手腕が問われることになるでしょう。

 私もゲーム中にちょっと現実にありえない行動をしてみようかと思ったのですが思いとどまりました。全貌を把握した後に思うとかなり危険な行動だったのであそこであの行動をしていたらGMがどう処理していたか…。別にかまいませんが?という態度でしたが案外ほっとしていたかもしれません。

 

 

・まとめ

 やはりというか、GMの負担がぶっちぎり(準備時間、構成力、アドリブ力、演技力、ユーモアetc)なので優秀なGMに知り合えるかどうかが重要です。今はネットがあるので頑張れば何とかプレイまではこぎつけられるかもしれませんがリアルコミュニケーションが重要なのでやはりある程度気ごころの知れた人の方がいいと思います。

 無事にゲームが開始できても頓珍漢な行動でGMを困らせるだけではなくPL側からもゲームを盛り上げる気持ちを持つことです。(大事なことなので二回言った)

 

 TRPGの魅力はもちろん役になりきるロールプレイの楽しさもあると思いますが、自分の頭で考えないと先に進めないというところにあると思います。クトゥルフ神話は呪文の類も出てくるため解釈に困る文章もありました。私は重要な呪文を憶えたのですがそれの使用タイミングに確証が持てず不安な気持ちで最終決戦を迎えるというコンピューターゲームではあまり無い経験をしました。たぶんGMさんが展開を助けてくれたと思います…。

 

 ロールプレイがハマってくるとなかなか楽しいのでキャラ設定は凝るといいんじゃないでしょうか。行動基準がブレると大変なのでこのキャラならこうする、と決めているとスムーズに進められます。自分の詳しい分野ならGMをやり込められるかもしれないのでリアル知識が展開に活かせることがあるのも楽しいです。

 

 開始のハードルはぶっちゃけ高いですが興味がある人が集められれば自分でGMをやってみたりするのもいいかもしれません。ネットで動画を探すと同じゲームでもメンバーの個性によって展開が変わっていたりして楽しいです。機会があったらまたやってみたいですね。

 

 

愛する人が傷つけられているのを見て引き下がることはできません!」(惚れてるロールプレイ)