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レビュー : 仁王2

 今回は

 仁王2 (PS4) 開発:コーエーテクモ

 のレビューをします。

 

 前作とは主人公も交代し、物語の直接の繋がりも無いので本作から始めても全く問題なしです。 というか正統進化しているので今更1をやる理由はあまり見当たりません。

 

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本作は大体の敵の弱点である角を狙いまくることになるということを暗示した秀逸なタイトルロゴ(嘘) 

 

 

■目次

・キャラメイク

・キャラクター

・戦闘

ハクスラ

・まとめ

  

 

■キャラメイク

 今作は体験版の段階でキャラメイクがかなり話題になりました。

 かなり自由度が高く、有名人そっくりの顔も作れるということでネットで検索すれば職人の力作を見ることができます。流石元々人物モデリングに定評のあるコエテクだけありますね。元が良くできてるので適当に好みの箇所をいじるだけもでいい感じになります。

 

 

■キャラクター

・主人公

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 見た目はプレーヤーの数だけある。

 設定としては天涯孤独の身の半妖。幼いころに謎の男に母親を殺された記憶と形見の短刀だけを持っています。その短刀に秀と刻まれているため「秀の字」「秀千代」と呼ばれることになる。

 言葉を発することは無く、感情の起伏も弱い。藤吉郎がそのあたりをカバーしてくれる感じです。世間知らずらしく偉い人の前でもボンヤリしていて藤吉郎がお前も頭下げろ、と押さえつけるのがお約束。住処はあばら家だし初期装備は山賊みたいな恰好だし仕方ない。

 プレイヤーの分身ながら何を考えているのか全く分からず基本的には流されるままに生きている模様。とはいえ全く自我が無いわけではなく通す筋がある時は無言実行するタイプ。半妖という存在もあまり一般的ではないようであまり明るい人生を送ってきたようには見えませんが、無償で人助けをするような心の持ち主です。

 

 

・藤吉郎

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竹中直人氏がモデルの藤吉郎(秀吉)

 軽薄さが目立つコメディリリーフだが、内に秘めたる野望は本物。霊石(アムリタ)を使って妖の気を静める特技を持って一国一城の主を目指す。非力な商人であるため主人公の腕っぷしを見込んで協力を持ち掛ける。2人そろって秀吉!という設定。

 ジャッキーチェンみたいに鼻をグイっとやるのが癖。

 

 日本男子はコエテクのゲームで歴史を学ぶそうですが、残念ながら私は全くプレイしていませんでした。そんな私の藤吉郎のイメージは椎名先生の漫画MISTERジパング になっています。小柄で目聡いお調子者だがやるときはやる。そんな感じ。

 歴史上の人物は二次創作のイメージによって性格が決定されちゃいますね。大河ドラマとかも見ないのでどうも誇張されたキャラ付けされがちです。

 

 竹中直人氏の起用はハマっているのではないでしょうか。私は見ていませんが大河で秀吉を演じた経歴もあるので適役と言えるでしょう。ゲームではDEMENTOでリカルドを演じていたのが思い出されます。当時は実在の人物を取り込むというのは珍しかったので印象的でした。

 

 

・無明

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女優の波瑠さんがモデル

 妖狩り集団であるソハヤ衆の狩人。

 出会った当初は妖は片端から殺すウーマンで主人公も問答無用で狩ろうとするが、わりと早くデレるのでひと安心。

 中立の立場でオリジナルキャラなので主人公との付き合いは長くなります。戦国時代という舞台なので敵味方は時勢によって変わることもありますが、彼女は妖を狩ること以外興味がないようなので安心して背中を預けられる。いや安心していいのかは知らないが。

 

 残念ながら私はモデルになった波瑠さんを知りませんでした。良くも悪くも女優顔で存在感があるけどちょっと浮いてるなという印象。波瑠さんに罪は無いけどお勝続投の方が嬉しかった。前作とは時代も違うし大人の事情もあるだろうから仕方ないけど。

 藤吉郎と同じく、喋らない主人公に代わって話を進めてくれます。

 

 

 ・超怪しい男

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 回想から主人公の親の仇であることはわかるのですがそれ以外の一切が謎。

 戦乱の裏にはこいつの影があり、望まなくとも何度も相まみえることになります。セリフがあまりなく何を考えているのかさっぱりわかりません。たぶんこいつは混沌が好きなんでしょう。一応最後に正体は判明します。

 妖怪はみんな無口でシャイだ。

 

 

・その他戦国武将

 色々出てきます。多すぎるので個人的に印象に残った数名だけ紹介。

 戦乱の世なので敵になったり味方になったり忙しいが武人らしく覚悟を決めているもののふばかりで後腐れがなくサッパリしているのがいいですね。

 

前田利家

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 檜山さんボイスの熱血漢。功を上げようと先走ることが多いが憎めない。

 

 

蜂須賀小六

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 主人公と同じ半妖で人間に友好的な妖怪の纏め役。カッパ甲羅で防御力が高そう。

 

 

・本田忠勝

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 単騎で妖と渡り合う最強の武人。私は前作も今作も蜻蛉切を愛用していたためドロップ狙いで何度もボコボコにしてしまって申し訳ない。

 

 

■戦闘

 本作はいわゆるソウルライク死にゲーに分類されます。本家と比較して特徴と言えるのは手数の多さ、選択肢の多さです。

 

 剣や槍といった9種の武器種に上段・中段・下段の構えがありさらに派生技があるので全部使いこなすのは大変。上段は攻撃力・範囲に優れるもののスキが大きく下段はその逆、中段は中間という感じです。武器によってモーションも違うので状況に応じて使い分けることで有利に戦いを進められます。

 タイミングよく構えを変えることで特殊な技の繋がりが出せたりしますが魅せプレイの領域かと。そういう使わなくてもいいけどやりたければできる、という要素も多いですね。

 

 日本の武道のイメージを取り込もうとしたのか、残心という要素もあります。

 これは攻撃した後にタイミング良くボタンを押すことでスキを消し、気力(スタミナ)消費を抑えることができるというものです。妖は気力を削ろうと常世というフィールドを展開してきますが残心を行うことでこれを祓うこともできます。

 

 また、相手の強力な攻撃に合わせてカウンターを決めることで大ダメージを与えられます。ピンチはチャンス。

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スキを衝いて強烈な一撃

 

  武器は2種類まで携行でき、それに加えて忍術と陰陽道の補助スキルを使用できます。

 区別がちょっと難しいですが、忍術は火力補助や状態異常付与に優れ、陰陽道はバフデバフや属性攻撃に優れるという感じです。一部を除き最初からツリーで確認できるので好みのスキルを取得しましょう。どちらかしか使えないわけではなく両立も可能です。

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・妖怪っぽいシステム

 前作の九十九武器に相当する妖怪化、今作から追加された新要素として敵妖怪の特殊技能が使用できるようになる魂代というシステムがあります。

 

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 妖怪化は妖力ゲージを使用して半妖の血に眠る妖怪の血を呼び出して変身します。体力の代わりに妖力を消費することになるので一定期間無敵になり、強力な攻撃を繰り出すことができます。

 

 魂代をセットし妖力を消費することで使えるようになる妖怪技はなかなかユニークです。範囲攻撃や状態異常付与などが使えるようになり、魂代自体にも様々な効果が付与されているため集める楽しみがあります。ロックマンみたいにボスを倒すと新技が覚えられるのが嬉しい。

 

 どちらも面白い要素なのですが、同じ妖力というリソースを消費するため残念ながら妖怪化が死んでいる感はあります。

 妖怪技は各々自分が使い勝手がいいものをセットすることになるので圧倒的にそっちの方が役に立つんですね。楽しいし。

 妖怪化は強敵との戦いでお互い体力がギリギリの時のゴリ押しとかで思い出したように使うくらいでした。

 

 

ハクスラ

 仁王の他の特徴としてはハクスラ要素があります。

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 武器・防具には様々な特殊効果があり、これを厳選して強化を図るのが楽しみの一つです。 本作はオンラインを通じて死んだ他のプレイヤーを屍狂いとして討伐することができ、その際相手の装備が高確率でドロップするので屍狂いを倒しまくればその時点での平均以上の装備はわりとお手軽に集まります。

 武器防具に関しては色々入手方法や強化方法があるので強化したいベースの装備を手に入れたら後は鍛冶屋通いするのが効率的。

 

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お世話になるトヨさんの仕事場

 鍛冶屋では金さえあれば大抵のことはできます。装備堀りをする必要がないなんてそれでもお前ハクスラか!というお叱りが飛んできそうですがいいんです。

 魂合わせで装備のレベルを上げたり焼き直しで追加効果の振り直しをすることができます。やり始めたら金が凄い勢いで無くなりますがたぶんこうやって強化するのが早道。

 ハクスラの王様ディアブロⅢもサービス開始当初はオークションハウスというものがあり、金こそ力というゲームデザインでした。大不評で結局閉鎖されてしまったので実際のところハクスラとしてはあまり上手い要素ではないのかもしれませんが、本作では数ある要素のうちの一つなのでそこまで目くじらを立てる人もいなかったのでしょう。

 私は楽して(言うほど楽でもないけど)俺tueeeeできればいい小物なので全然かまいません。

 

 

■まとめ

 ボリュームもたっぷりで満足です。史実をベースに妖が跋扈するという世界観も中二心に響きます。オンライン要素も強化され、野良でやるもフレンドとやるも良しでストレスを感じたことはありません。

 問題点として前作から変わっていない要素が多いということは言えるかもしれませんが、個人的にはほとんど忘れていたのであまり気になりませんでした。つまり印象が弱かったということかも.…。

 

 その理由としては

 ・マップデザインの弱さ

 ・プレイ感の軽さ

 があると思います。

 

 両方とも本家ソウルシリーズと比較した場合の話です。

 マップデザインに関しては、ソウルシリーズはステージそれぞれの主張がものすごく強く、攻略に試行錯誤した経験が強い印象として残るのですね。ですが本作のマップは起伏がなく、ビジュアル的にも古い日本をベースにしているのであまり思い切ったことができません。なのでパンチが弱いです。

 プレイ感の軽さに関しては前作をやってまず初めに感じたのをよく覚えているのですが、攻撃の一撃を始めとして手ごたえが弱く、軽く感じてしまうのですね。その代わりにスピード感を持ってサクサク進められるので一概に悪いとも言えません。たぶん無双の開発経験あたりから来ているのでしょう。

  

 高難度死にゲーではありますがオンラインに接続して人がいれば助けてもらえるのでそこまで構える必要は無いです。私はそんなにゲームが上手いわけではないですがソロでも頑張ればなんとかなる難易度かと。

 ただ後半のマップでは落下死やチェックポイントを絞ることによって殺そうとしてくるのでちょっとフラストレーションがたまります。手数が多くスピーディなゲームデザインを採用しており駆け引きや読みがあまり重要ではないので難度を上げるにはそうするしかなかったのでしょう。

 

 ・総評

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 ガチなのは難しそうだけど死にゲーに興味はあるという、カジュアルさを求めている人にはピッタリ。そうでない人もやって損は無い。

 

「な、秀の字!」