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レビュー : バイオハザードRE3

今回のレビューはカプコンから発売されたバイオハザードRE:3 (ps4)です。

*軽度のネタバレを含みます!

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皆のアイドル、追跡者がタイトルを飾ります

  2のリメイクであるre:2の興奮冷めやらぬままre:3の登場です。

re:2の記事は以前作成しましたのでよろしければご覧ください。

 

 

 本作は1999年にCAPCOMから発売されたPS1用ソフト、バイオハザード3 LAST ESCAPEのリメイクです。私が初めてプレイしたバイオも3でしたが、あまりの怖さに投げ出して明るく楽しいサルゲッチュを買った想い出があります。その後ちゃんとクリアしました。

 

 

■目次

・前作、無印との比較

・追跡者

・キャラクター

・ストーリー・演出

 ・まとめ

 

 

■前作(re:2)原作(ps1)との比較

 前作と比較した場合、そこまで劇的な違いはありません。謎解き要素の減少、緊急回避の導入によって多少アクション要素が高まったものの基本はスローテンポなサバイバルアクションです。

 難度スタンダードではそこまで理不尽なこともなく前作をクリアしたプレイヤーであれば問題なくクリアできるでしょう。ドラム缶やショートしたバッテリーなどステージギミックが豊富なためそれらを意識した立ち回りをすると無駄な戦闘を避けられます。

 

 原作と比較した場合はグラフィック、操作性etc全くの別ものです。ストーリーやキャラクターにも手が加えられており完全再現ではありません。残念ながらライブセレクションを始めとするストーリー分岐もカットされています。また時計塔・公園・墓場ステージや一部エネミーもカットされてしまっておりシチュエーションは減少してしまっています。

 その代わりに出番が増えたサブキャラクターが多く、より魅力的に感じられます。

 

 

■追跡者

 本作のヒロイン。

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 前作に登場したタイラントに改良を加えたより優れた生体兵器。アンブレラ社の暗部を暴こうとする警察特殊部隊S.T.A.R.Sの生き残りを抹殺すべく地獄と化したラクーンシティに投下されます。こいつから逃げきって地獄と化したラクーンシティから脱出するのが本作の目的。

 タイラント比べて移動手段、攻撃手段共に豊富で撒くのに苦労します。動きもダイナミックな感じで恐怖感よりはパニック感を煽るタイプのエネミー。今作は緊急回避が使いこなせればほとんどのエネミーを封殺できるので上手いゲーマーにとってはあまり苦にならないかもしれません。

 発売前からパンイチMODが用意されている約束された愛されキャラ。主人公の抹殺を目標としてインプットされておりとにかくしつこいです。原作ではとにかくスターズスターズ言ってる(瀕死で倒れる時でさえ)熱烈な追っかけなのですが今作ではコールは控えめで残念。

 

 基本的にこちらの攻撃はほとんど有効ではないので逃げの一手。前作は閉所をウロウロするゲームデザインだったので、ばったり遭遇してしまう恐怖や一定距離を保って追ってくる足音が静かな恐怖感を演出していたのですが、本作はうわーきたーニゲローみたいな感じ(雑)。

 個人的には前作タイラントみたいに常に追いかけられるのはストレスなので、イベント扱いっぽい方が気楽で気にならなかったです。圧迫感とのトレードオフで調整が難しいところ。

 

  

■キャラクター

・ジル

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旧コスチューム着用

 本作の主人公。

 初代バイオハザードの洋館事件によって所属していた警察特殊部隊S.T.A.R.Sが壊滅し、報復のために元凶のアンブレラ社を潰すべく行動しています。あと数日で街を出る予定だったらしいのでバイオハザードに対する準備は全くしていなかった模様。

 ジルはタイトルによってまあまあ顔つきが変わるのですが本作は最新技術を駆使してよりリアル寄りになりました。個人的な好みとしてはゲームなので作りものっぽい美しさがあっていいと思うのですが。

 無印や歴代タイトルと比べてみても性格に大きな改変は無く勇敢で正義感に溢れるスーパーコップです。最初こそ追跡者の襲撃に動転しますが一旦攻勢に出てしまえば漢気溢れる啖呵を切って立ち向かいます。

 

 ・カルロス

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渋くて頼れる歴戦の傭兵に

 本作のもう一人の主人公。 

 アンブレラ社の私設傭兵部隊U.B.C.S所属の傭兵。ラクーンシティで発生したバイオハザードから市民を救うために投入されます。今回の事件が雇い主のせいで起きたことは知らず純粋に使命感で行動していますがそのせいで最初はジルの信頼が得られません。

 本作のヒーローポジションと言っても大丈夫なくらいナイスガイに生まれ変わったカルロス。無印版では有能な傭兵ではあるものの若さから来る脆さがクローズアップされておりちょっと頼りない感じがありました。

 しかし!発売前に公開されたカルロスのビジュアルは「誰やこれ」というくらいのバージョンアップがされていました。このカルロスが情けなさを見せるのはそれはそれで面白いと思ったのですが心配ご無用。バイオシリーズの男らしく極限状況でも軽口を叩くのを忘れない、バッチリ決めてくれるイケメンになりました。

 ゲリラ戦の経験がある傭兵ということでクリスやレオンとはまた違ったタイプの活躍が期待できそうなので続編での再登場を希望します。

 21歳らしい。外人さんは老けて見えるからね。

 

・ニコライ

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 U.B.C.Sメンバー。カルロスの同僚。

 生き残るため、金のためには手段を選ばない典型的な傭兵屋。元スペツナズの経歴を持つため優れた生存能力を持ちます。なぜか相変わらず武装は最小限。

 初っ端からイヤミ全開の嫌なやつポジションです。原作ではミハイルに代わって作戦立案するなど冷徹なプロフェッショナルという印象もあったのですが本作では良くも悪くも感情が豊かになったため「嫌なやつ」要素が強まった気がします。少々残念。

 とはいえ出番は増えており物語に色を添えてくれます。

 

・ミハイル

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 カルロスらU.B.C.Sメンバーの指揮官。

 落ち着いていて頼りがいのある歴戦の猛者なのだがゲーム開始時に怪我を負っているため出番は少なめ。とはいえ原作よりセリフは増えている。ソ連出身ということで英語に独特の訛りがあり、それがどうも高圧的に聞こえてしまう。が、いい人のはず。

 原作で妙に印象に残ってた人。今作もやっていることは同じなのだが流れ的にそうなった感があり少々残念。ジルもあまり反応していなかったし。

 

タイレル

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  U.B.C.Sメンバー。

  U.B.C.Sは犯罪歴のある軍人や傭兵で構成されているという設定だったので原作ではバリバリの犯罪者経歴の上に速攻で退場していたモブ隊員だったが、リメイクされてめちゃくちゃ扱いが良くなった。

 際立った活躍は無いもののカルロスの相棒として色々とサポートをしてくれる。インテリ黒人ポジションでパソコンをいじっているシーンが多いのはご愛嬌。ジルへの当たりも良く軽口も叩けるためいい脇役。

 だが戦闘能力はヤムチャに見える。単独でラクーンシティを移動しているだけでかなり実力者のはずなのだが劇中ではいいところがない。

 さらに後半のあるシーンで眼鏡の度があっていない疑惑が浮上した。

 

 

■ストーリー・演出

 当然色々と強化されており、ジルの私室から始まるオープニングはなかなかいいと思います。リアルで洗い物が溜まっていたのは笑った。こういう等身大の演出は人間味が感じられて良い。

 

 が、静から動への演出を重要視したらしいせいでけっこうな矛盾を感じました。

 ゲーム開始時点では普通の日常の空気が漂っています。ところが突然の襲撃に追われて外に出ると一転、ラクーンシティはすでに地獄と化している。

 確かにジルは寝落ちしていましたがたったの数時間でこの有様になるとはちょっと考え辛い。町中に転がるU.B.C.Sの遺書にも数日の戦闘の内に部隊が壊滅したという旨のことが書かれています。

 つまり、ジルが3日くらい寝ていたのでなければ説明がつかない矛盾が速攻で出てきてしまいちょっとモヤモヤします。ブラッドの言う通り「何が何やらわからんままこうなった」で何とか納得するしかありません。こんな感じで初めからまともに説得感のあるドラマを作る気は無かったようなのはちょっと残念なところです。ビジュアルのクオリティと演出はまた別ですからね。

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まさにその通り

 昔は荒唐無稽な設定でもグラフィックがチープだったため上手く溶け込んでいました。ですがグラフィックや演出がリアルになるにつれそうした小骨が無視できないノイズとなってしまっている感がありますね。

 

 ps1のopを見直してみたのですが、物語の導入という点ではこっちの方がスムーズに見えてしまう感がありました。

 ゲーム開始時にモノローグを入れ、警察、特殊部隊壊滅のムービーが続くことで気分を盛り上げジルも爆発と共にダイナミックエントリーしてきます。何をしていたのかはわかりませんがもう色々手遅れなことが数秒で理解できすんなりとは入れます。

  

 まあ上記のような細かいことを気にしなければ十分楽しめます。 

 個人的な要望を言えば、もっともっとドラマが欲しかったですね。具体的には、町中が舞台なので生存者との接触が欲しかった。

 残念なことに生き残り市民との接点が全然ありません。というかほぼいません。序盤に賑やかしとして出てくるだけです。銃社会アメリカがこれではあまりに不甲斐ないのではないでしょうか。

 ケンド銃砲店に民間人と立て籠もり、追跡者に壊滅させられるシーンがあれば10点はプラスされていました。U.B.C.SとR.P.D壊滅を体験出来たらさらに30点プラス!

 ジルの性格的に結局一人で立ち向かったかもしれませんが...。

 

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それでもカッコイイシーンはいくつもあります

 ゲームデザインとして周回を前提にしているためそれを考慮するとこのくらいのバランスかとは思うが、もっとMETROのような「物語」が見たい、と思ってしまいます。

 しかし敵がクリーチャーだらけなのでU.B.C.Sや民間人を介入させまくるしか方法がありません。なのでバイオハザードにそれを求めるのは間違いかもしれないけど、METROとかをやってしまうとオフラインのサバイバルシューターに求めるハードルがどうしても上がってしまいますね。

 原作から比べると圧倒的に向上しているのですが、現世代での比較だともうちょっとと思います。ムービーの量は十分だと思うのでストーリーに説得力を持たせムービー以外のインタラクティブな箇所で上手くストーリーテリングしていく手法を模索して欲しいです。

 

 と言いつつぶっちゃけ前述2シーン入っていれば満足したと思うので、何に重点を置くか(あと制作リソース)という問題かもしれません。

 一緒に戦ったキャラの濃い民間人が追跡者にやられてしまったらてめえこの野郎許さねえ!みたいなのも生まれたかもしれない。無くても倒すけど。

 

 

■まとめ

 安定して面白いです。

 が、個人的に期待値が大きかったぶんもうちょっと欲しかった感はありますね。

 難しいのはわかるのですが、もっと町であることを活かしたゲームがしたかったです。日常が侵食される感覚がパニックホラーの面白さだと思うので、下水道や研究所よりはショッピングモールや町中のシチュエーションがもっと欲しかった。

 

 キャラクターに関してカルロスやタイレルは見た目も中身もすごい株を上げたのですが、ジルのビジュアルが微妙にイメージ違ったのは残念です。慣れればいいかと思ったのですがリアルになればいいってもんでもない。前作のシェリーもかわいいとはちょっと言い切れなかったし...。

 現実に近づくほどいろいろ問題もありますしね。

 

 ゲーム内容に関しても、ドラマ性がもっと欲しい私と周回でボリュームを出そうとする開発の方向性が違うんだなーというのを感じ始めました。4くらいの頃はシューターが面白ければそれでよかったのですがビハインドTPSももうすっかり一般化しましたからね。もうそれが面白いのはわかったんですよ。

 いつかMETRO、bioshockinfiniteに匹敵する余韻を得たいものです。そういった意味ではバイオハザードシリーズにも一段上のステージを求め始めたのかもしれません。

  とはいえ現状でもよくできてはいますのでシリーズファン・サバイバルホラー好きならもちろん買いです。

 

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「俺は死なない。俺のいない世界なんて寂しすぎるだろ。」