今回は
プレデター ハンティンググラウンズ (PS4) 開発:IllFonic
のレビューをします。
プレイヤーは人間の兵士かプレデターどちらかの陣営を選択しPvPvE形式の三つ巴の戦いが楽しめます。
「森が襲ってくる…」なタイトル画面。イカス。
■目次
・概要
・ファイアチーム
・まとめ
■概要
本作は非対称形式のFPS/TPSです。
名作SF映画「プレデター」の1作目をベースとしてジャングルでの特殊部隊と宇宙からやってきたハンターの死闘が楽しめます。BGMやプレデターの能力など原作再現には力が入っているため原作映画好きなら大満足。
人間側は4人でチームを組み、ランダムに選択されるミッションをクリアするか襲い来るプレデターを倒すかのどちらかがクリア条件となります。
プレデター側は1人でファイアチームの4人全員を抹殺するのが唯一の目標。一人でも逃すと失敗なのでけっこう厳しいです。
ここに第3勢力のゲリラ兵士が加わります。AIは可もなく不可もなく、攻撃力・耐久力も大したことはありません。かといって舐めすぎていると瀕死の治療中に殺されたりするので侮れません。
■ファイアチーム
一人称視点で基本的な要素はFPSに慣れたプレイヤーならすんなり入れるオーソドックスなスタイル。
特徴的なシステムとしては「泥塗り」がある。映画1作目でシュワちゃんが発見した例のあれである。泥を塗れば一定時間プレデターの赤外線探査から逃れられるのでこまめに泥パックしたらよい。
クラスは4種類用意されている。
・アサルト : バランスに優れる。味方の蘇生が早い。
・リコン : 索敵能力に優れる。敵をマークする時間が伸びる。
・スカウト : スピードに優れる。サブ武器の取り回しが良くなる。
・サポート : 防御力に優れる。爆発などに耐性がある。
これらに様々な武器やスキルを組み合わせることが可能。クラスは好みで選んで問題ないが特にこだわりが無ければ初期クラスのアサルトで問題ないですね。
指定されたミッションを達成して脱出すればクリアなので仲間と適当にゲリラをあしらっていればそこまで難しいことは無いです。
だが当然そう簡単なわけは無く、プレデターの襲撃にも備えなければなりません。
ヤツは姿を消してどこから襲ってくるか全くわからない生粋のハンターですが、近くにいる時には独特の唸り声を出したりデバイスの起動音がしたりするので接近を察知すること自体は難しくないです。またプラズマキャノンで攻撃を仕掛けてきた場合はレーザーサイトから射撃地点を割り出すことが容易なので落ち着いて反撃できます。
今のところこのゲームでもっとも注意しなければいけないプレデターの脅威は室内戦であるように思いますね。格闘戦では全く勝ち目がないので狭い場所で戦闘になった場合相当うまくお互いをカバーしないとスピードに翻弄されて全滅するパターンが多いです。
イメージ的には逆な気がしますが、ファイアチームとしてプレイする際は籠城はあまりしないように屋外で適度な距離を保ったほうが全滅の危険を避けられます。
しかしプレデターの格闘攻撃を弾ける「パリィ」もあるため、使いこなせれば場所を選ばず対応できるようになります。
とにかく射撃を集中することさえできればわりとアッサリ倒せるので、仲間との距離を上手く保ち孤立しないという基本を守れば惨めな屍を晒さずに済みます。
上手くプレデターを撃破したら死体を持って帰ろう。追加報酬がもらえます。扱い…。
宇宙からやってきた孤高の戦士。こちらは三人称視点。
正式な種族名はヤウージャといいプレデターという呼称はメタ的なものらしい。初めて知った。
クラスは3種類
・ハンター : バランスがいい。
・スカウト : 素早さが高く遠距離戦向き。
・バーサーカー : 近接の鬼。そのかわりに鈍足。
基本装備としてリストブレイド、プラズマキャノン、赤外線ビュー、光学迷彩を装備しており、それに加えて任意の二つの武装と補助ギアが装備可能。
光学迷彩とかを使用するにはエネルギーを消費するためリソース管理にはまあまあ気を遣う。切れたからといって即ピンチになることは無いけど相手の目の前で光学迷彩が切れたりしたらカッコ悪い。
樹上を伝って獲物を探すこともできる。見晴らしがいいがそれは相手からも同じことなので大体の位置を把握したら地上から接近するのがオススメ。あまりプレデターの能力を過信せずゲームの基本に沿って堅実に行動したほうが勝てる、気がする。ロールプレイも楽しいけどね。
せっかくなので映画のプレデターになりきって獲物を追い詰める…といきたいところですが、ハッキリ言って本作プレデターさんは弱い。4対1の状態で突っ込んでいけば負けるのは仕方がないのだが、ちょっと突出した1人を狩ろうとしてバレると後の3人にハチの巣にされて逃げ去ることになる。ダウンさせただけだと復活させられてしまうので息の根を止める必要があるのだがなかなかそこまで手が伸びない。
なんとか相手をダウンさせた場合はそのまま殴り続けて殺す以外に、
・頭蓋骨を拝借
・脊椎を引っこ抜く
のどちらかの行動がとれます。脊椎引っこ抜きができれば最高のポイントが入るがモーションが長くなかなかタイミングがないので基本は頭蓋拝借か殴り殺しになる。多少無理してでも息の根を止めないとファイアチームの戦力を削れないので頑張りどころです、プレデターさん。
もし敵を全滅させることができれば一人一人背骨を引っこ抜くことができる。その日を夢見てリストブレイドをよく磨いておこう。
あまり強くない感を出してしまったプレデターさんサイドだが、レベルが上がってコンビスティック(槍)とバーサーカークラスが解禁されれば4人と正面から殴り合っても悪くない勝率を出すことが可能。その日まで頑張れ。頑張ってばかりだなプレデター…。
そういうわけなので最初はファイアチームでプレイしてゲームの流れを掴みつつレベル上げをし、ある程度上がったらプレデターに手を出してみるのをオススメします。
樹上パルクールや赤外線探査などプレイ感覚も独特なので慣れるにはある程度集中的にプレイしたほうが良いですね。
■まとめ
このゲームが楽しめるかどうかを判断するのは簡単。
プレデターが好きか否かである。
YESなら迷うことは無い。しかし、「プレデター?アメリカ空軍が保有する無人攻撃機のこと?」な人にあえて本作を勧める理由は正直なところ見当たらない。
残念ながら本作の非対称マルチプレイとしてのゲーム内容やバランスは題材に興味がない人を引き込むのには弱いです。
やはりゲームの面白さがプレデターを操作するプレイヤー1人に全て委ねられているのが一見さんに負担を強いてしまう。ゲーム開始時に速攻で全滅に追い込んでくるような鬼畜でも駄目だし、たまにちょっかいを出してきてはハチの巣になって逃げかえりゲリラにとどめを刺されるヘタレでも駄目。
これはある程度は仕方がないですね。非対称マルチプレイとはそういうもの。だがそれを悪い意味で強調してしまっているのが
・ファイアチームの個性の無さ
・ゲームの単調さ
です。
・ファイアチームの個性の無さ
いくつかのクラスがあるものの実質的な差はほとんど感じられない。初期クラスのアサルト最強説が出てしまうのでは他のクラスをアンロックする意味が全くない。
贅沢を言えば専用アクションが一つずつあったりしたらどうだっただろうか。ダウンからの回復はメディックしかできず、泥塗りはリコンしかできない、とかであればロールプレイやパーティ構成の重要度が上がったと思う。バランス調整は…頑張ってほしい。
とにかくどのクラスでもサーチアンドデストロイ以外にすることがないので気分転換もできず単調さに拍車がかかる結果に。
・ゲームの単調さ
ファイアチーム側はひたすらマークされた対象を目指してボタン長押し、待機を繰り返す。プレデターが面白いことをしてくれなければやることは毎回同じだ。
できることが多いプレデター側は多少マシかもしれない。しかしそのプレデター側にしても槍バーサーカー解放前後で強さが変わり過ぎる(からす主観)。解放前は孤立した隊員を上手く削っていくしかないが解放後は多少無茶なアタックを仕掛けても戦える。
樹上からのステルス確定キルやプラズマキャノンの範囲強化などもう少し弱い時期に戦えるアクションが欲しかった。プラズマキャノンは見た目が派手な割に範囲も狭く威力もそれほど高くない割りに居場所を教えることになるのであまり使わなくなる。一応チャージして直撃させれば即ダウンさせられるので玄人向けの武器。
非対称マルチプレイが出始めた頃に出たevolve(現在はサービス終了)というタイトルは序盤は弱くて逃げるしかないモンスター側と追うプレイヤー、後半は力関係が逆転して追うモンスターという面白い流れになっていました。
プレデターは舐めプ狩り設定で最初はブレイドのみというモードがあっても良かったのかも?映画AVPみたいに神殿奥に安置された武器を目指して進む、とか。
私はいちプレデターファンとして本作に満足している。1作目をベースにした本作を作ってくれたことは非常に嬉しいし個人的にもそれで良かった。
ただゲームとしては映画「プレデターズ」のように個性豊かな軍人・犯罪者VS特殊能力持ちプレデターとかのほうが色々できて二匹目のドジョウも狙えたかもしれない。あるいはエイリアンvsプレデターvs宇宙海兵隊のPvPvP(どこかで聞いた気もするが)も夢が膨らむ。
1作目をベースにしても原作登場人物のダッチやビリーを操作できれば掛け合いも楽しめただろうし、トラップを仕掛けての籠城ができたりすればプレイの幅が広がった。
Eスポーツやらの舞台に乗せるのは難しいゲームであるが、プレデターになりきってマルチプレイができるなどなんとも良い世の中になったものではありませんか。
好きな人には刺さる。そういうゲームをみんなで買い支えていきましょう。
「周囲に同化していやがる!卑怯な野郎だ!」